EV用・高効率モーター用の無方向性電磁鋼板の選び方
モーター設計では、板厚、鉄損、磁束密度が互いに異なる方向に作用します。宝鋼のAシリーズとAHシリーズを例にした実用ガイドです。
変圧器用の鋼板と異なり、無方向性(NGO)電磁鋼板は板面内のあらゆる方向で磁気特性が近く、磁束の向きが絶えず変わる回転機に適しています。モーター用グレードの選定は、鉄損、磁束密度、板厚、コストのバランスです。

グレードの読み方
宝鋼のB35A270では、「35」が公称板厚(0.35 mm)、「A」が無方向性シリーズ、「270」が保証最大鉄損P1.5/50の100倍、つまり1.5 T、50 Hzで2.70 W/kgを表します。AHシリーズ(例:B50AH470)は高磁束密度グレードです。
| グレード | 板厚(mm) | 最大P1.5/50(W/kg) |
|---|---|---|
| B35A210 | 0.35 | 2.10 |
| B35A250 | 0.35 | 2.50 |
| B35A270 | 0.35 | 2.70 |
| B35A300 | 0.35 | 3.00 |
| B50A290 | 0.50 | 2.90 |
| B50A350 | 0.50 | 3.50 |
| B50A470 | 0.50 | 4.70 |
| B50A800 | 0.50 | 8.00 |
数値は宝鋼の製品情報による保証最大値です。各ロットの実測値はミルシートに記載されます。
板厚:0.35 mmか0.50 mmか
渦電流損は板厚と周波数に応じて増加します。EVの駆動モーター、高速コンプレッサー、サーボモーターなど電気周波数の高いモーターでは、一般に0.35 mm以下の材料が有利です。商用周波数の産業用モーターでは、0.50 mmグレードがキロワット当たりのコストで最も有利なことが多いです。より薄い板厚やEV・高周波向けグレードはご要望に応じて提供でき、その特性値は宝鋼の見積とミルシートに従います。
鉄損か、磁束密度か
- 低鉄損グレード(数字が小さい)は、特に部分負荷や高周波で効率を高めます。
- 高磁束密度のAHグレードは、少ない電流や小さな断面で必要なトルクを得られます。
- 打抜きや歪取り焼鈍は最終特性を変えるため、加工ルートを早めに決めてください。

相当グレード
図面が欧州または日本のグレードを指定している場合、通常は鉄損クラスで対応付けます。B35A270はGB/T 35W270、EN M270-35A、JIS 35A270に相当します。見積前に最新の宝鋼データで対応関係を確認します。
モーター形式、運転周波数、鉄心板図面、年間数量をお送りいただければ、グレードとストリップから完成コアまでの加工ルートを提案します。

